確かに動いた心をなかったことにしてしまうのは、自分の心に失礼だから。

安田さんの「メガネ」に向き合う時間

私の推し安田さんが世界に寄り添ってくれたYouTube動画が公開された

ジャニーズの所属グループ横断企画、「Smile Up! Project」で今週公開された関ジャニ∞YouTube動画。流れ始めるのは、誰でもない大好きな安田さんが1人とうとうと語る様子。充実したFC限定動画の数々があるおかげで、こんなご時世でも週に1度は安田さんの声を聞けるネットラジオの時間があった。だから、いつもおしゃべりしてる安田さんの出番だ〜!と、勘違いも甚だしい不思議な気持ちで見つめていた。

 

安田さんの前振りと、「受け取ってみてください」という柔らかな声を受けて、2014年の甲子園テーマソングだった「オモイダマ」をメンバー5人がリモートで歌唱する様子が映し出される。それぞれが違う場所にありながら、白球を追う球児のように白シャツで揃えた5人が、祈るように力強く。憂うばかりじゃなしに、これからの未来をワクワクさせてくれるような、素敵な歌唱だった。 

 

歌が終わり、静かに安田さん1人のアングルに返ってくる。関ジャニ∞は家からのリモート収録がアイドルとは思えないくらい多いんじゃないかと思う。室内に響く、飼っているお魚さんたちの水槽がピチャピチャいう音にこちらが耳慣れてしまっているのも恐ろしい話だが、天井の高そうなお部屋に声を響かせながら、安田さんは語り出してくれた。

 

翌日の朝のニュースなどでもたくさん取り上げられていたけれど、彼の病気について。頭蓋骨の開頭手術によって腫瘍を取り出したことを、その時の傷痕を見せながら、そして声を震わせながら語ってくれた。自分だって後遺症に苦しみ少しも強くなれないでいる。しんどい時はしんどいことを受け止めて、一緒に未来に向かって歩みましょう。そんな風に語りかけてくれる安田さんは、自分の方が辛いと言うわけでもなく、はたまた辛い思いしてるからと言い訳するわけでも絶対なく。彼の言葉はいつだってしんどい人の心に寄り添ってくれるようで、痛みを分かち合ってくれるようで、押し付けがましいわけでも決してなく、慈愛に満ちたような声で、優しく世界に語りかけてくれていた。

 

メガネについて。安田さんから聞くことを避けていた言葉だったかもしれない

そんな中で、安田さんが一際言葉を詰まらせ涙声で伝えてくれた言葉があった。

この色付きのメガネをつけないとステージとかテレビとか、日常生活も無理なんで。

テレビや雑誌はもちろん、コンサート、舞台、メイキングに自宅リモート収録に至るまで、安田さんは色付きのメガネをいつもかけている。  もちろん、私もそれが脳腫瘍の後遺症の影響であることは知っていた。でも、この言葉を聞くと、私はぐっと胸が痛む。

 

私は、エイターになってまだ1年ちょっと。安田さんのことが気になり始めたのは、テレビ番組「関ジャニクロニクル」で2年くらい前に、「昼は鳥になりたい、夜は魚になりたい」と嬉々として語る姿を見た時だった。思ってもみなかった自由な発想、そしてなんという文学性…!なんとなく、ジャニーズってだけで煌びやかで自分には無縁な世界だと思っていたのに、その一言が心に勝手に土足で踏み入ってきて、それでいて言いようのない心地よさを覚えた。

 

 

そして、安田さんに落ちた決定的なもう1つの要因、それがメガネだった。

その時の彼はすでにメガネをかけてテレビに出演していて、当時はクリアな丸メガネ。元々メガネフェチな気があった私なので、本当のイケメンがかけるメガネのクオリティ高すぎる仕上がりに息をのんだ。雰囲気イケメンとかいうジャンルを殴りにかかりたいくらいの完成度。それを見て、ああ、私は安田担になったんだと悟った(自分次第でしかないけど)。

 

のちにそのメガネは、彼がやむをえずにかけていたものだと知るのだが、それから個人的にずっと葛藤している。

ご本人がかけるつもりもなかったメガネに無邪気にはしゃいだ申し訳なさ。メガネをもしかけてなかったら自分はヤスダーじゃなかったんじゃないかと思う怖さ。病気もメガネもないことを本人だけじゃない誰しもが望む中、「メガネ出」なんていう本来であれば不要な存在になってしまってる所在なさ。

 

ただ、コンサートに行ったり映像を見たりブログを読んだり、安田さんのパフォーマンスのすごさや思慮深さや広くて深い心に触れるたびに、あまりに力強く前に向かって生きてるから、そんなこと彼にとってどうでもいいし、きっかけはなんだって良いんだと何度も思い返してきた。でも、やっぱりこうやって、面と向かって(正確には面と向かってない。YouTube越し)涙ながらの声でメガネが必須になったことへの悲痛な思いを聞くと、自分は安田さんにちゃんと正面から向き合ってきたのか?楽しいことだけ吸い上げて、本当にオタクとして受け入れるべきことを避けてはいないか?その自問自答が再び始まって、モヤッとした思いと罪悪感が体の中で渦巻くように暴れ出していった。

 

「メガネ似合うからいいじゃん」とは言いたくない複雑なオタク心

その罪悪感とモヤモヤへの解として1つ言えるのは、「メガネ出のヤスダーを生み出したくらい、安田さんのビジュアル開発能力がすごい」ということ。

これは本当にそう。今までメガネかけてアイドル業してこなかった安田さんが、メガネありきで見た目を開発し続けているのは、彼の漲るような表現力があるからこそ。丸メガネに始まり、色付きレンズになってからは、モヒカンやツーブロック、毛先の色を遊ばせるワンレンボブ、スタイリングも肩ラインを落としたダボッとした印象の物を着こなしたり、拡張ピアスでいかつさを増させていたり。やるのは簡単で誰でもできることだけど、着こなしてファンをつけるまでするのは、安田さんのビジュアルのポテンシャルと表現力があってこそとしか言いようがない。

 

でも、オタクの心は複雑で、似合ってるしいいじゃんというのは、1つの意見として持ったとしても、ここを結論にしたくない気がどうしてもしてしまう。

 

だって、かけなくていいならかけたくないって本人が言ってるのだから。

 

それは当たり前のことで、安田さんはまず第一にアイドルだ。ステージで売るほどライトを浴びて、表情の機微で1度に何万人だって沸かせる、スーパーアイドル。メガネがない方がいいに決まってる。そんなこと、はっきり言ってるだけで辛くなってくる。なぜ、安田さんが……。ってこちらは思うのに、ご本人は「病気にならせていただいたからこそ、わかる痛みが増えた」なんて語るから、自分のちっぽけさにさらに泣きたくなってしまう。なんて素敵な方を推すことができてるんだ私の現世。

冒頭のYouTubeじゃないけど、しんどいことをしんどいとしっかり受け止めて、それでも前に進もうとしている安田さんが目一杯に詰まったような、尊い言葉遣いだなと思うばかりだ。

 

そもそも安田さんにとってビジュアルとは?アイドル像を凌駕するその存在

そんな風に思考を巡らせていて1つ気づいたことがある。安田さんの好きなところってなんだったんだっけ。安田さんは存在が哲学なので、それを語り出して語り切るのはなかなか難しく今回は割愛するけれど、何かってとにかく哲学なところが私にとって安田さんの一番好きなところだ。

パッと思いつくことで言えば、歌声、ワードセンス、ひたすらひたむきに表現・芸能をしているところ、リモートしてる自宅の画面にバスキアミニオンとツノような何かといったとにかくカオスな様子が見切れるところ、キッチンバサミでワンレンボブをベリーショートになるまで髪の毛切り落としちゃうところ、今伝えるべき想いを一生懸命に考えて伝えてくれるところ・・・

 

上げ始めたらとめどないからもうやめるけど、個人的な感覚として、言葉を選ばずに言えば、ビジュアルは副次的だなと思うことに気がつく(もちろん大前提として、顔大好きなのだけど)。安田さんを好きになったきっかけも、どちらかと言えば世界全開の金言の数々が始まり。あとこれも、完全なるTwitterを通じた私調べだけど、メガネにかかわらず以前からビジュアル七変化を繰り返していた安田さんに対して「見た目がガラッと変わっても全部安田さん」「なぜか変わったようには思えない」「安田さんのしたいファッションをしてくれてることが幸せ」と語るヤスダーさんを見かけることが本当に多い気がしてる。

 

不思議だ。アイドルでありながら、どんなビジュアルであろうと安田さんは一様に愛されている。もしかしたら、私が安田さんのことしか知らないだけで、他のアイドルさんのオタク層もそれは同じなのかもしれないのだけど、どこか安田さんは今でも私の中のアイドル像を超えていく存在だなと思う。

 

だから、ある意味、メガネがあろうがなかろうが、私がオタクになるのは時間の問題だったかもしれないし、そんなタラレバ置いておいたとして今メガネをかけていようがいまいが、今の安田さんも過去の安田さんもなんならこれからの安田さんも、全部違和感なく好きだなあと思える。もしかしたら、それが全てで良いのかもしれない。

 

知って、向き合って、笑っていきましょう。

知らないって怖い。

僕はこれまで、どれだけの人をどれくらい傷つけてきたのだろう。

突然だけれどこれは、安田さんの言葉でもなんでもなくて、再放送中のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」第2話で主人公の平匡さんが言っていた言葉。

 

9割人間性が決まると主張する本もあるくらい、見た目って分かりやすく人を認識できる材料だ。今回のYouTube投稿で、「安田さんのメガネいまいちって言ってごめんなさい、知りませんでした」と言ったコメントが多数ついていると話題になっていた。確かに、安田さんを知らないで、テレビでたまに見かけるだけの層だったら、イメチェンしたのかなあとしか認識できないのは無理もない(知らない人にもイメチェンしたんだと思われてしまうほどの出面の多さ、改めてすごいなと思う、というパンピーな感想を添えて…)。

 

私も、何も知らないで安田さんのメガネを無邪気に喜んだ。喜んだのは、あの時何も知らなかったからだ。その事実を受け止め、また病気の影響だと知って罪悪感を覚えたことに背を向ける気持ちが少しでもあったことを省みて、「知らないって怖い」という言葉を胸に刻みたいなと、ステイホームしながらドラマの再放送を見つめながら、思った。

 

いろんな人が支えてくれてるからです。だからこうやって覚悟を持って皆さんの前に立ってます 。

(…) 頑張るというか、楽しんでいきましょう。笑っていきましょう。

 

YouTube動画は安田さんのこんな言葉で締め括られる。いつも安田さんは、エイターに「笑っていきましょう」と語りかけてくれる。大病を患い、腰骨と背骨を折り、色付きメガネをかけてでも芸能界にアイドルとしてい続けてくれている安田さんが言うこの言葉は、果てしなく深く、優しい。彼の覚悟を無駄にしたくはないし、純粋に安田さんの活躍する姿が心の底から嬉しいから、これからも安田さんやエイトの届けてくれるエンタメをたくさん楽しんで、笑っていきたいなと思ったりする。

 

全然取り止めがないけど、YouTube見た日から感じていたザワザワがちょっとは晴れた気分。何かに言い訳するように書き出してみて、よかった。楽しんでいきましょう。おわり。